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2025 年の新しい医療機器規制: 機会と課題

今年の規制環境はどうなるでしょうか?医療技術メーカーはどのようにしてビジネス目標を設定し、新たな市場成長の機会を掴むことができるのでしょうか?

公開日:
2025年2月26日

この記事はもともと MPO に掲載されたものです。

新しい年の始まりは、個人およびビジネス双方の目標を振り返り、今後数か月間に向けて弾みを付けることに集中する良い機会となります。医療機器分野において、これらの目標は地域ごとに大きく異なる規制状況と本質的に結びついています。昨年は、規制の調和(ハーモナイゼーション)に向けた多大な取り組みが行われたほか、サイバーセキュリティ、データの安全性、機械学習(ML)、人工知能(AI)への関心が高まりました。2025年は、特にデジタルヘルス技術において、より厳格なISO/IEC規格が導入されることで、こうした傾向がさらに強まると予想されます。規制状況が進化し続ける中、重要な疑問が1つ残されています。それは、今年の規制環境はどうなるのか、および医療機器メーカーはどのようにして効果的なビジネス目標を設定し、新たな市場の成長機会を掴むことができるのかという点です。

米国

米国食品医薬品局(FDA)は規制監督において常に主導的な役割を果たしており、定期的にガイダンス文書を発行・更新して、医療機器メーカー向けの「特別管理(Special Controls)」に関する最新の見解を示してきました。こうしたガイダンス文書には、ソフトウェア、サイバーセキュリティ、AI、コンパニオン診断、次世代シーケンシング(NGS)技術、および各種機器カテゴリーに関連するものが挙げられます。

FDAは毎年、策定予定のガイダンス業務の概要を公表しています。「2025年度CDRH提案ガイダンス」案には、ソフトウェア、AI、サイバーセキュリティ、510(k)申請、緊急使用許可(EUA)、Q-Submission(事前相談)プログラム、およびラボ開発検査(LDT)などのトピックが含まれています。

FDAは10月1日までに、電子申請テンプレート・リソース(eSTAR)の対象をDe Novo(新規分類申請)にも拡大する予定です。同局は、この対話型PDFフォームを513(g)(分類判定依頼)などの他の申請区分にも拡張することを目指しており、最終決定されたガイダンス文書を通じてこの拡大をサポートする予定です。

ラボ開発検査(LDT)として提供される体外診断用医薬品(IVD)に対する最終規則の策定方針の一環として、FDAは4年間で5つの段階にわたり、これまでの一般的な執行裁量(enforcement discretion)方針を段階的に廃止し始めます。第1段階は5月6日に開始され、LDTメーカーは医療機器不具合報告(Medical Device Reporting: MDR)要件、改修・回収報告、および苦情ファイルに関する品質システム(QS)要件への準拠が義務付けられます。より厳格なLDT要件の導入に伴い、クラスIII(高リスク)のIVDからクラスII(中リスク)への一部の再分類も行われる見込みであり、主に感染症診断やコンパニオン診断に影響が及ぶとみられます。この変更は、これまでこれらのデバイスをLDTとして「販売」してきたメーカーを含め、IVDメーカーの市販許可(マーケティング・クリアランス)プロセスを簡素化することを目的としています。

カナダ

カナダ保健省(Health Canada)の「今後の規制計画:2024–2026年」では、多様な製品カテゴリーにおける規制の近代化を目指す、いくつかの重要な取り組みの概要が示されています。その大きな焦点は、より柔軟でリスクに基づいた臨床試験の枠組みを構築するために、「食品医薬品規則」、「自然健康製品規則」、および「医療機器規則」を更新することです。この近代化は、革新的で非従来型の試験デザインに、より柔軟に対応できるようにすることを目的としています。

この計画のもう一つの重要な側面として、医療機器製造販売業者ライセンス(MDEL)制度の更新と、カナダ医療機器規則の改正が挙げられます。

さらに、カナダ保健省とFDAの間で2023年に開始された、単一のeSTAR申請に関する共同パイロットプログラムが、今年成果をもたらす可能性があります。「デュアルeSTAR申請(Dual eSTAR Submission)」は、米国とカナダの両方における医療機器の承認申請プロセスの簡素化を目指しています。本プログラムの重要な機能として、申請先の国を選択した際に、他方の地域固有の添付ファイルが自動的に除外される仕組みなどが想定されており、これによって製造業者の手続きが簡素化されます。

欧州、英国、スイス

医療機器規則(MDR)および体外診断用医療機器規則(IVDR)のさまざまな改正により、一部の機器メーカーは依然としてEUのMDRおよびIVDRに完全準拠する必要がない場合があります(旧指令のMDDまたはIVDDの下で規制されている「レガシーデバイス」)。しかし、多くの医療機器メーカーにとって、レガシーデバイスに対する移行措置の期限が迫っているため、まもなくMDRおよびIVDRへの対応が不可欠になります。これは、製品の上市が継続できなくなるか、あるいはEC証明書の有効期限が切れることを意味し、CEマーキングを維持するためにはMDRまたはIVDRへの完全な移行が求められます。

初めて認証機関(Notified Body)による適合性評価を受ける製造業者は、より体系化・組織化された「技術文書」および「品質マネジメントシステム(QMS)」を作成して対応する必要があります。また、臨床エビデンスの提示、機器の再分類への対応、市販後調査(PMS)の実施、ビジランス(不具合報告)活動、さらにはサプライヤー、販売業者、輸入業者を含むサプライチェーン全体におけるトレーサビリティの確保も求められます。

さらに、医療機器メーカーやスタートアップ企業は、MDRおよびIVDRの第10a条に基づき、予見可能な供給の中断または終了に際して履行しなければならない特定の義務が課されるようになりました。

5月26日より、クラスI医療機器、ならびにクラスBおよびクラスCのIVDにおいて、固有機器識別子(UDI)の表示が義務付けられます。EUDAMED(欧州医療機器データベース)のモジュールについても、監査完了後に官報で公示されてから6か月後に義務化される可能性があります。

また、5月26日は、クラス分類に関わらず、すべてのIVDメーカーがIVDRに準拠したQMSを構築・運用する期限でもあります。さらに、クラスD機器のメーカーは、この日までに認証機関へIVDR適合性評価を申請し、2025年9月26日までに当該認証機関と書面による合意契約を締結しなければなりません。

さらに、昨年施行された新たな一般製品安全規則(EU)2023/988およびEU製造物責任指令(EU)2024/2853により、EU市場で販売される製品の製造者に対する法的コンプライアンス要件が変化しました。メーカーは、ソフトウェアやAIを搭載した医療機器を含む製品の欠陥によって生じる損害への法的責任を回避するため、2025年の法的要件を満たすよう内部プロセスの適応を迫られています。

英国のMHRA(医薬品・医療製品規制庁)は今年、デジタルメンタルヘルス技術、AIの開発・展開、UDI、インプラントカード、およびIVDに焦点を当てた、多くの新たな規制を導入する予定です。これらの規制は、英国医療機器規制(2002年)をさらに改正するものであり、CEマーク取得済みの機器に対しては、特定の条件に基づき2028年6月または2030年6月までの移行期間を認めています。また、MHRAは、米国FDA、カナダ保健省、豪州TGAによって既に承認されている特定の医療機器の受け入れ(承認)についても協議を進めています。

スイスにおいては、EUとの相互承認協定(MRA)が途絶えているものの、医療機器関連法の大半はEU規制(MDRおよびIVDR)と整合されています。1月1日に発効した改正スイス体外診断医療機器条例(IvDO)は、規則(EU)2024/1860に伴う最新の変更を反映したものです。これには、医療機器証明書の有効期限延長や、医療機関が院内検査(インハウス検査)においてIVDR準拠を証明するまでの猶予期間の延長などが含まれます。また、医療従事者用IVDのラベル表示要件の簡素化についても議論されています。

ラテンアメリカ

他地域と同様に、ラテンアメリカ諸国でも規制の調和が進んでおり、国際基準との緊密な整合が図られています。ブラジルのANVISAは、RDC 848/2024に基づき、医療機器としてのソフトウェア(SaMD)、一般ユーザー向け医療機器、植込み型医療機器、ならびにクラスII、III、IVのIVDにおける「必須安全・性能要件」を更新しました。この更新は、EU規則(MDR/IVDRの附属書I)に定められている「安全性および性能に関する一般要件(GSPR)」、および国際ガイダンス文書「IMDRF/GRRP WG/N47FINAL: 2018」の内容を反映したものです。

アルゼンチンでは、新たな医療機器規制の枠組み(決議第237/2024号)が3月28日に施行される予定です。この枠組みにより、外国の認証や試験データの受け入れ範囲が拡大されるほか、技術基準への適合性を検証する責任が税関から保健当局へ移管され、市販後調査(PMS)要件が導入され、新たな適合マーク(QRコード)が採用されます。

アジア太平洋

昨年、中国国家薬品監督管理局(NMPA)は『中国医療機器管理法』の草案を公開しました。2025年に制定されれば、この規制は既存の法律を大幅に更新し、中国の強制性製品規格への適合(第3章)に重点が置かれることになります。また、海外の製造販売業者の現地法的代理人、ならびに医療機器の登録者および届出者の主要人員に対する法的責任も強化されます。この草案には、さまざまな違反行為に対して5〜15日間の拘留処分が盛り込まれています。

現在、国際医療機器規制当局フォーラム(IMDRF)の準加盟メンバーであるインドは、新たな医療機器規則を全面施行する見込みで、これにより国内外の企業の薬事申請プロセスに大きな影響が及ぶと予想されています。規制の統一性を高めるため、政府は「2017年医療機器規則」に基づき、リスクプロファイルに応じて約1,178の医療機器を4つのカテゴリーに分類する計画を進めています。

日本では、厚生労働省(MHLW)が所管する医薬品医療機器等法(薬機法)の改正が予定されています。SARS-CoV-2検査キットなどの体外診断用医薬品に対する急増する需要により、医療機器の登録・認証プロセスの合理化へのニーズが顕在化しました。これに伴い、製造販売業者による情報の収集・評価・報告に関する市販後安全規制の確立などが盛り込まれます。また、SaMDの審査プロセスも見直されています。

韓国では、2025年1月に「デジタル医療製品法」が施行されました。この法律は、デジタル医療技術における分類基準、許可(認証および申告)手続き、臨床性能試験、ラベル表示要件、ならびに市販後管理方法を規定するものです。

規制目標の設定と機会の活用

この規制動向の概要はすべてを網羅しているわけではありませんが、医療機器の国ごとの規制情報を常に把握しておくことがいかに重要であるかを物語っています。2025年に予想される規制の変化は、既存市場でのコンプライアンス維持であれ、新規市場への進出であれ、製造業者にとって課題と機会の両方をもたらします。コンプライアンスを維持し、競争力を保つためには、強固で適応力のある規制戦略が必要です。変化に効率よく対応できる企業は、成長を遂げ、新たな市場へスムーズに参入するための有利なポジションを確保できるでしょう。また、新しい機器や技術にとっては、イノベーションを起こし、競合他社との差別化を図る絶好の機会となります。

規制当局から指摘を受ける前に、潜在的な弱点を自ら特定して解決するプロアクティブなアプローチが不可欠です。各地域の規制を深く理解し、個々の状況に合わせた具体的なロードマップを提供できる規制の専門家とパートナーシップを結ぶことで、コンプライアンスのプロセスを大幅に効率化できます。このアプローチは、時間やリソースの節約につながるだけでなく、2025年の規制目標の確実な達成を支えます。準備期間が限られている今こそ、コンプライアンスを確実に担保し、新たな成長機会を掴むために、決断力のある一歩を踏み出す時です。

オリバー・アイケンバーグ博士 は、研究開発、製造、品質管理の分野で14年間、医療機器およびIVDの規制・品質保証(RA/QA)コンサルティングの分野で15年間を含む、30年近くに及ぶ医療機器の専門知識を有しています。また、グローバルな医療機器規制の専門家であり、品質マネジメントシステムの監査員でもあります。 Pure Global に入社する前、アイケンバーグ博士は Emergo by UL Solutions で10年間、シニアRA/QAコンサルタント、内部監査員、および主任IVDRマネージャーを務めました。

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